相続で親族を亡くしたばかりなのに、申告書にマイナンバーを書けと言われて戸惑っていませんか。個人情報を国に提供することへの不安から、記載を拒否したいと考える気持ちは当然です。
しかし、相続税申告でマイナンバーの記載を拒否した場合、税務署からの連絡や将来的な税務調査リスクが高まる可能性があります。現在は罰則がなくても、令和7年からAIによる全申告書分析が始まることで、状況は大きく変わるかもしれません。
この記事では、個人番号記載を拒否したときの税務署の対応から、法律上の義務、必要書類まで、実務で必要な情報をすべて解説します。あなたが安心して適切な判断ができるよう、複雑な制度をわかりやすくお伝えしていきます。
相続税申告でマイナンバーを拒否した場合の対応とリスク
税務署の対応
身内が亡くなって相続手続きをすすめていると、申告書にマイナンバーを書く場面がでてきます。でも個人番号を国に教えることへの抵抗感から、記載をためらう人もいるでしょう。実際のところ、税務署では現在、マイナンバーの記載がない申告書でも受理されており、その場で門前払いになることはありません。
これは国税庁が制度普及には時間がかかることを考慮しているためです。ただし書類を受け取ってもらえたからといって、それで完全に問題がないわけではありません。申告書を出したあとで、管轄の税務署から連絡がくることがあります。電話や書面で個人番号の確認を求められ、追加で情報提供を要請されるケースが増えているのです。
職員を名乗る人物から電話で直接マイナンバーを聞かれることはありません。こうした詐欺めいた連絡には十分警戒する必要があります。税務署からの正式な連絡は、基本的に書面でおこなわれ、来署をもとめられる形式がほとんどです。
記載拒否に罰則はあるか
相続税申告書へのマイナンバー記載は、国税通則法という法律で定められた義務となっています。しかし現時点では、記載をしなかったからといって罰金や処分を受けることはありません。国税庁は義務であることを明記していますが、制度の浸透状況を考慮して、当面は罰則適用を控えている状況です。
ただし、非協力的な態度として税務調査の対象になりやすくなる可能性は否定できません。令和7年7月からは、すべての相続税申告書がAIによる分析対象となることが決まっています。個人番号の記載がない申告書は、システム上で異常値として認識され、詳細な確認対象としてピックアップされる確率が高まることが予想されます。
足立区で相続手続きをする経営者の方にとって、会社経営と相続対策の両立は重要な課題です。個人番号の提出を避けたいという気持ちはわかりますが、結果的に税務調査のリスクを高めてしまう可能性があることを理解しておく必要があります。
相続税申告におけるマイナンバー記載義務と拒否時の現状
法律上の記載義務
平成28年1月1日以降に発生した相続については、相続税申告書への個人番号記載が法律で義務付けられています。これは行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法にもとづく措置です。国税の賦課や徴収に関する事務を効率化し、適正な課税を実現することが目的となっています。
マイナンバー制度によって、税務署は金融機関から被相続人や相続人の口座情報をオンラインで取得できるようになりました。複数の機関に分散していた個人の財産情報を、12桁の番号で一元的に管理できる仕組みが構築されているのです。給与や年金、利息や配当、保険金などの所得情報も番号によって統合的に把握されるようになっています。
この制度変更により、税務調査の効率は飛躍的に向上しました。過去10年分の金融取引記録も、必要に応じて入手可能となっており、申告内容の正確性を詳細に検証できる体制が整備されています。
現状:記載がなくても受理される理由
法的義務があるにもかかわらず、現在でも個人番号の記載がない申告書が受理されているのには理由があります。国税庁は、制度への理解が国民全体に浸透するまでには相当の時間が必要だと認識しているためです。急激な変化による混乱を避け、段階的に制度を定着させる方針をとっています。
また、高齢者を中心に番号通知カードを紛失したり、マイナンバーカードの取得手続きが困難だったりする人が一定数存在することも考慮されています。相続は突然発生することが多く、準備期間が限られるなかで、すべての相続人から個人番号を収集することが困難なケースもあるでしょう。
しかし、この柔軟な対応がいつまで続くかは不透明です。制度開始から相当の年月が経過し、今後は記載要件が厳格化される可能性が高まっています。足立区で事業を営む経営者の方々にとっても、将来の相続に備えて、家族全員の個人番号管理体制を整えておくことが賢明な選択となるでしょう。
相続税申告でのマイナンバー記載対象者と拒否できる場合の記載方法
記載が必要な人/不要な人
相続税申告書に個人番号を記載する必要があるのは、財産を取得したすべての相続人と受遺者です。配偶者や子どもはもちろん、遺言によって財産を受け取った第三者も含まれます。複数の相続人がいる場合は、申告書第1表にそれぞれの番号を記載することになります。
一方で、亡くなった方の個人番号は記載不要です。平成28年10月以降、故人の番号情報を取得することが困難という理由から、被相続人の番号記載は不要となりました。また、海外に住んでいて日本の住民票を返納している相続人についても、そもそも番号が付与されていないため記載の必要はありません。
人格のない社団や財団が財産を取得した場合は、法人番号の指定を受けていれば、その番号を記載することになります。相続放棄をした人や、遺産分割の結果、財産を一切取得しなかった相続人については、申告書への記載自体が不要となるため、個人番号の記載も必要ありません。
マイナンバー確認方法
個人番号がわからない場合の確認方法は主に3つあります。まずマイナンバーカードをお持ちの方は、カード裏面に記載されている12桁の番号を確認できます。次に通知カードがある場合は、上部に記載されている番号で確認可能です。平成27年10月以降、各自治体から簡易書留で送付されているはずですが、紛失している人も少なくありません。
どちらも手元にない場合は、市区町村役場で個人番号記載の住民票を取得する方法があります。窓口で申請すれば即日発行してもらえるため、急いでいるときには最も確実な方法となります。住民票の請求時には、運転免許証などの本人確認書類が必要になるので、忘れずに持参しましょう。
相続税申告書への具体的な記載手順
申告書への記載は、第1表の相続人氏名欄の下にある個人番号記載欄におこないます。記載する際は左端を1マス空けて、12桁の番号を正確に記入することが重要です。複数の相続人がいる場合は、第1表続きとして2名ずつ追加されていきます。
番号の記載は必ず自筆でおこなう必要があります。税理士や他の相続人による代筆は認められていません。申告書作成を順番に回す際も、各相続人が自分で記載することになります。他の相続人の番号が記載された申告書を一時的に預かることは問題ありませんが、コピーや保管は禁止されているので注意が必要です。
控えを作成する場合、個人番号部分には斜線を引くか、マスキングをして番号が見えないようにします。情報漏洩防止の観点から、現在は控えへの記載は不要とされており、記載欄自体に最初から斜線が引かれている様式も使用されています。
相続税申告時のマイナンバー提出と拒否に関わる本人確認書類
窓口提出時の本人確認書類
税務署の窓口で申告書を提出する場合、個人番号の確認と身元確認の2種類の書類が必要になります。マイナンバーカードをお持ちの方は、1枚で両方の確認ができるため手続きが簡単です。カードがない場合は、通知カードや番号記載の住民票で番号確認をおこない、運転免許証やパスポートなどで身元確認をする形になります。
窓口で提出する相続人本人については、書類の提示だけで済みますが、他の相続人の分については写しの添付が必要です。遠方に住んでいる相続人がいる場合は、事前に必要書類のコピーを送ってもらう必要があるため、余裕をもって準備をすすめることが大切です。
代理人が提出する場合は、委任状とともに代理人自身の身元確認書類も必要になります。税理士に申告を依頼している場合は、税務代理権限証書によって代理権が確認されるため、相続人全員の署名と捺印が求められます。
e-Taxによる提出の取扱い
電子申告システムであるe-Taxを利用する場合、本人確認書類の添付を省略できるメリットがあります。マイナンバーカードの電子証明書機能を使って申告する場合は、カード自体が本人確認の役割を果たすため、追加の書類提出は不要です。
税理士が代理送信する場合は、さらに手続きが簡略化されます。財産取得者の利用者識別番号の暗証番号や電子証明書も不要となり、税理士の電子証明書だけで申告が完了します。足立区で活動する税理士事務所の多くは、このe-Tax対応が可能となっており、書類準備の負担を大幅に軽減できます。
ただし、e-Taxでの申告でも個人番号の入力自体は必要です。システム上で番号を入力しないと申告データが作成できない仕組みになっているため、結局のところ番号の提供は避けられません。電子申告は手続きの簡素化には役立ちますが、個人番号の記載義務から逃れる手段にはならないということを理解しておく必要があります。
相続税申告におけるマイナンバー拒否のまとめ
相続税の申告書に個人番号を記載することは法律で義務づけられていますが、現時点では記載を拒否しても罰則はありません。税務署は制度の浸透に時間がかかることを考慮し、番号なしでも申告書を受理していますが、後日連絡がくる可能性があります。
マイナンバーの記載を拒否すると、将来的にAI分析でピックアップされやすくなり、税務調査のリスクが高まることが予想されます。令和7年7月からすべての申告書がAIによる分析対象となるため、非協力的な姿勢は不利にはたらく可能性があります。
足立区で事業を営む経営者にとって、相続対策は重要な経営課題です。個人番号の提供に抵抗があっても、専門の税理士に相談することで、適切な申告方法や対策を見つけることができるでしょう。制度への理解を深め、リスクを回避しながら適正な申告をおこなうことが、結果的に最も安全な選択となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記載義務 | 法律で義務化(平成28年1月1日以降) |
| 拒否時の罰則 | 現時点ではなし |
| 税務署の対応 | 受理するが後日連絡の可能性あり |
| 記載対象者 | 財産を取得した相続人・受遺者全員 |
| 確認方法 | マイナンバーカード・通知カード・住民票 |
| 将来のリスク | AI分析により調査対象になりやすい |
